所長の挨拶

 

産業研究所(Keio Economic Observatory: KEO)は、義塾創立100周年記念事業の一環として1959(昭和34)年に設立された、長い歴史を持つ大学附属研究所です。

その英語名にあるObservatoryという表記は特異に見えるかもしれませんが、その意図は、KEOに所属する研究者が常に現実の社会に目を向け、科学的知見から実証的に分析することを目指すという福沢諭吉以来の「実学の精神」だと考えられます。

KEO創設者の藤林敬三は、高度経済成長期の労使紛争解決に経験科学の視点を活用した研究者でしたが、その後、研究員の対象分野は経済・法律・行動科学へと拡大し、その過程で、寺尾琢磨、峯村光郎、辻村江太郎、正田彬など数多くの傑出した研究者が誕生しました。そして、実証科学の視点から社会を見るというその独特の研究スタイルは、現在までしっかりと受け継がれています。

いま、日本の大学は大きな岐路に立たされています。少子高齢社会の到来とグローバル化の進展によって、以前にも増して世界で生き残りをかけた競争に晒されるようになりました。そうした状況のもと、附属研究所の存在意義も厳しく問われるようになると思われます。

今後は、セミナー、論文発表、書籍出版など従来型の情報発信は申すまでもなく、外国人研究者および留学生など客員研究員や研修生の受け入れ、海外研究所との交流や合同シンポジウムの開催など、より海外に重点をおいた活動を充実させていく所存です。

KEOはその輝かしい伝統を引き継ぐと共に、実証研究の現代的な意味を失うことなく活動を続けて参ります。みなさまのご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。